金魚花火~明奈~

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「そうだよ。」って言えば良かった…。 そしたら少しは寂しがってくれる? そんなんやめとけとか言ってくれたり? 一瞬浮かんだ都合のいい妄想に嫌気がさす。 そんなことあるわけないか。 私の隣をニコニコしながら歩く男を見上げると、「どーした?」というような表情で見つめ返され心臓がキュっと締め付けられる。 どこがいいんだろ、こんなオッサン。 そう思うのにそれでもこの男が好きなバカな私。 そんな私の気持ちに長年全く気付く気配もない、鈍感でデリカシーの欠片もない彼の名は増田幸大。 ウチのお隣さんで、25歳の立派な社会人。 立派な社会人のはずなのに昔と変わらず私にちょっかいを出してくるし、私の2コ下の弟とも未だにテレビゲームで真剣に勝負して負ければ本気で悔しがる精神年齢の低い大人だ。
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