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しかし結果はまたも大暴投、その次の球も大暴投。勝負の結果はフォアボールとなり、結果的には純平の勝利である。
結果的には。
「純平、こいつの球見て分かっただろ? エースはあいつだ、あいつしかいねぇよ。あの星野と河下に投げ勝てるピッチャーはな」
敬太が純平に言った。純平は聞こえているはずだが返事を返さない。
「おい聞いてんのか」
「すげぇ」
体をぷるぷると震わせている純平。敬太が「は?」と声をもらすと。
「すっげぇよお前! まっじすげぇ!」
そう興奮しながら、マウンドでフォアボールを出してへこんでいたシンに駆けよった。そしてシンの両肩を掴み激しく揺さぶりながら話しかける。
「お前がいたら絶対、代表決定戦に勝てるぜ! 一緒に頑張ろうぜ!」
「えっと、あ、うん、が、頑張ろう」
フォアボールを出してしまったにも関わらずのこの言葉に目を丸くするシン。どうやら彼自身は自分の投げる豪速球に気づいていないようだ。
自分の投げる球の凄まじさに。
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