第03話-神郷イエロードンキース-

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「正直、ストライクが来なくてほっとしたよ、来てたら多分……捕れなかった」 「敬太くんが捕れないの?」 「ああ、相当えげつないよ、あの球」  夏鳴が改めてシンの投げる球を凄いと思った瞬間だった。夏鳴は敬太の事を野球選手として凄く良い選手だというイメージを持っていた、その敬太が捕れないほどの球を投げるシン。 「凄いなぁ」  夏鳴はマウンドにいるシンに目を向けながらそう声をもらした。ちなみにシンは今純平に絡まれておりあたふたしている、それを見た夏鳴は「純平に絡まれてかわいそう」などと呟いたが、それは誰にも聞こえていなかった。 「鷲田監督が一目で惚れ込む理由がわかったよ……です。あいつは一体何者なんですか?」 「おぬしがそこまで他人に興味を持つなんぞ珍しいのう。よほどあやつの球に驚いたんじゃのう」 「あんな球、誰でも驚くと思うけど」 「当然じゃ、昨日見ていたわしですら驚いたのじゃからのう」  鷲田監督のその言葉に首をひねる敬太、再び驚いたその理由を鷲田監督が口に出す。 「明らかに昨日見ていた球より速かったからのう。昨日ぐらいの球なら、ぎりぎりおぬしが捕れるスピードじゃと思ってこの対決を許したんじゃが。予想外じゃったわい、危うくおぬしに怪我をさせてしまう所じゃった」
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