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○○○
シンの小学校での一日は上履き探しから始まる。下駄箱を開けても、昨日あったはずの上履きがなくなっているのだ。こんなもの、シンには慣れっこである。
「あったあった」
外にあるゴミ箱の中に捨てられている上履きを見つけ、教室へ向かう。そこでもいつも通りの現実がシンを迎え入れる。
この際のパターンは三通りだ。
一、椅子がない。
二、机に落書きされている。
三、そもそも机がない。
今日はどうやら二のパターンのようだった。机にがっつり落書きをされていた。その机の落書きを消して、シンは椅子へと座る。その際、椅子に画鋲が仕掛けられておりお尻に刺さり「いたっ」と声をもらしたのはシンしか知らない。
○○○
授業が始まっても、教科書がない、体育の時間も体操服が濡らされている。などなど、授業の時間でも休まる時間がない。
「どうだシン。最近嫌な事はないか?」
「先生」
体育の授業の終わり、小学校生活で唯一シンと会話をしてくれる人物。初田 康雄【ハツタヤスオ】先生がシンへと話しかけた。
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