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そしてこの三人の内の二人が、シンの虐めの主犯格なのだ。
一人が、風間 光樹【カザマコウキ】。もう一人のぽてっとしたのが 飯田 太【イイダフトシ】。
そして残ったもう一人の身体づきの良い男は……シンの元友達である、桜 清文【サクラキヨフミ】である。
三人は元々仲の良い友達のように先生の前では会話をする。
「あっはは、お前ら本当仲良いなぁ」
「当たり前じゃないすか、俺たち親友っすよ?」
初田先生の言葉にそう笑顔で返す光樹。肩を組んで「な?」とシンに同意を求める、実際は違うのだが首を横に振れないシンは「う、うん」と頷く。
「……。そっか、それなら良いんだ。では先生は行くよ、お前ら、次の授業に遅れるなよ」
初田先生の後ろ姿に「はーい」と返事を返し、姿が見えなくなるとシンの肩から腕を外し、三人はシンに目もくれず去って行った。
○○○
「相変わらずの腰抜けだな、あいつは」
「そうなんだな」
光樹の言葉に太が頷く。しかし。
「それはどうかな?」
清文は光樹の言葉を否定する。光樹と太は首を捻る。
「どういう事だよ清文」
「そうなんだな」
清文が答える。
「さぁ? どういう意味なんだろうな、俺の勘なんだけど、あいつ、いつもとは目の色が違ってたぜ?」
「そうか? いつも通りの腑抜けだろ?」
「そうなんだな?」
「だから勘だっつったろ、あてになんねぇよ。あんま気にする事じゃねぇよ、お前らはいつも通りイジメてりゃ良いんじゃねぇの?」
清文のその言葉に、二人は笑う「じゃあお前は何なんだよ」と。清文は答える。
「俺? 俺は観客だよ」
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