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シンが神郷イエロードンキースに入団してから、一週間が経過した土曜日。シンはマウンドでボールを投げていた。
凄まじい豪速球を、ノーコンだけど。
ガシャアンと大きな音をたて、ボールはフェンスへ激突する。その様子を見ている鷲田監督。
「うーむ、球はめちゃくちゃ速いんじゃが、いかんせんコントロールがのう。それに、敬太もあの球を捕れそうにないしの」
考え込む鷲田監督。「よし」と手を叩いた、何か閃いたようだ。
「敬太! シン!」
二人を呼んだ。「はい」と返事を返してくる。すると鷲田監督はにこっと笑い、こう一言。
「おぬしら下手だから、今から愛媛」
顔を見合わせ、「は?」と声を出した二人だった。
○○○
述べ忘れたが、シン達の住む村である神郷村は徳島県にあるのだ。愛媛県は同じ四国なので、そんなに遠くはないのだが、何故いきなり愛媛なのか、シンと敬太は疑問を持っていた。愛媛へ向かう車の中で。
「俺たちだけ何故愛媛に? といった風な疑問を持っているようじゃな」
図星の二人は素直に頷いた。
「その疑問に答えてやろう」
鷲田監督は言う。
「今から【六人の神童】と呼ばれる少年達の中の一人に会いに行くんじゃよ」
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