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○○○
「良悟、お客さんだ」
相手の監督がシン達を連れて、その少年へと声をかけた。その少年は何故か手に持っている空きカンから手を離し振り向いた。
「お客様?」
「そうだ、こちら神郷イエロードンキースというチームの監督をしている鷲田さんだ」
「はじめまして良悟くん」
「はぁ、どうも」
相手の監督がイキイキと紹介をしているが少年は誰か全く分からないようだ、まぁ初対面なので当然と言えば当然なのだが。
相手監督は少年を手のひらで指し、鷲田監督達へと紹介をした。
「知っておられると思いますが、この子が六人の神童の一人、【狙撃手】こと--
甲崎 良悟【コウサキリョウゴ】です」
「はじめまして」と、甲崎は頭を下げた。
ここで鷲田監督はある事に注目した。それは甲崎の足下にある縦に積まれた空きカンにである、五つ程積まれ中々の高さになっている。
「良悟くん、そのカンカンは一体何なのかな?」
「あ、これですか?」
甲崎は積まれた空きカンに目を向け続ける。
「的、ですかね」
「的?」
「高低のコントロールの調子を確かめるにはこの方法が一番効果的なんですよ」
そう良いながら更にもう一つカンを積んだ甲崎。トータルで六つの空きカンが縦に積まれている。
それを見た相手監督が甲崎へ指示を出した。
「口で言っても理解し難いだろうから、直接見せてさしあげなさい」
甲崎の返事は。
「……分かりました」
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