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この言葉に心を撃たれたシンは、昔父に買ってもらったグローブとボールに目を向けた。そして思った。
もしかしたら自分も、野球をする事によって神藤誠のように変われるかもしれない。
野球に、救われるかもしれない。
そう考えると一目散にグローブとボールを取り、家を飛び出した。
先ほど書いた、子供ながらの遺書の事などすっかり忘れて。
何はともあれ、この時からシンは希望を見つけたのだった。真っ暗闇の中で光を見たような気がしているのだ。その光を目指し、シンは走りだした。
○○○
シンがたどり着いたのは、神郷村という住んでいる村の南側に位置する所にある公園だった。
シンが住んでいる村は北側なのだが、もし学校の友達などに会うといけないので、わざわざ遠い公園へと足を運んだのだ。
今、シンの目の前にあるのは壁である。その壁に向けボールを投げる、そしてはね返ったボールをグローブでキャッチする。ただただそれを繰り返す。
そんなシンの姿を見ている一人の老人がいた。
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