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何も考えず、シンはボールを投げ続ける。
小学生にしては凄まじい豪速球を壁に投げ続けている。
ボールが壁にぶつかる度に鳴り響く鈍い音が、投げる度に強く激しくなっていく。それを聞いて、ベンチに座りシンの姿を見ていた老人がニコッと微笑み立ち上がった。
そして壁あてを続けるシンの近くへ歩きだし、声をかけた。
「おぬし、野球経験はあるのか?」
突然話しかけられた事に驚き、シンは咄嗟に手を止めた。老人......おじさんの質問に答える様に首を横に振った。
「そうか、ないのか。どうりで投げ方がめちゃくちゃな訳じゃ。じゃが、とてつない球を投げとるの、おぬし」
おじさんに褒められたのか貶されのか分からないといった表情のシン。おじさんは続けた。
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