Start of travel

21/25
600人が本棚に入れています
本棚に追加
/1510ページ
「諦めよう」 ピッツは俺の話をきいてなかったかの様に喋る。 「は?だから……」 「なぁ怜。要は仲間を集めればいいんだよなあ?」 俺が反論しようとするとピッツがそれを遮る。 そんなピッツは少しにやけてる様にも見えた。 「ん……あぁ」 「だったら記憶は諦める。アイツを新しい仲間として集めればいいんだよ!」 俺はピッツの少し意味不明で唐突な言葉に戸惑った声を出す。 「だぁからお前はアイツと知り合いてことは一旦忘れろ! 要は仲間を集めればいいんだろ? だったら一度全員集めて記憶はそのあとでいいだろ」 「な……なる程……だけどそううまく行くか?」 「ばか!そんなやってみなきゃわからねえだろ?」 またピッツは自信満々に言い放つ。 「確かにそうだな。つか、ピッツも旅についてきてくれるのか?」 「あー途中まではな」 「ホントか?」 その言葉に俺は少し笑顔を取り戻した。 この世界でピッツについてきてもらうのがどれほど心強いか。 確かにこの世界の事を何も知らない俺たちにピッツがついて来て貰うのはかなり心強い 「あぁどうせ暇だし……。ちょっと俺も行きたい所がな!」 ピッツも笑顔で言う。 「そうか。ありがとなピッツ!」 ホントにピッツは何から何までいいやつだな。 人は見た目や肩書きによらないという教訓を俺は今思い知った気がする。 ピッツこんなにいいヤツなのに、見た目は子供で肩書きは盗賊だからな。 「おう!とりあえずもう一度宿に行ってさっきの奴に話しでも聞いてみようぜ!」 そういうピッツに俺は行き良い良く返事をし、もう一度宿に向かった。 「いらっしゃ……てまたピッツか。」 扉を開けると先程の宿屋が次は若干怪訝な表情をする。 まぁ少し大と喧嘩みたいになったからな。 「あぁ何度もすまないなおやっさん!それよりさっきの客の部屋は何号室だ?」 ピッツは宿主の怪訝な表情を気にせず普通に話す。 「え?5号室だよ。頼むから喧嘩しないでくれよピッツ。お前だから教えたんだぞ。」 「おう!わかった。じゃあ行くぞ!」 「お……おう」 俺達はあれよあれよという間に、5号室に向かって歩きだした。 やはり、やけにピッツは村人から信用があるみたいだな。
/1510ページ

最初のコメントを投稿しよう!