2/5
前へ
/5ページ
次へ
みんなにはちゃんと起こしてくれるお母さんがいるんだろうけど 私にはいない。 お母さんは私がまだ幼い頃病気にかかって亡くなったらしい。 正直お母さんの顔も声も覚えてなかったりする。 お母さんが死んだ後はお父さんと二人で暮らしてたわけなんだけども 一年前お父さんは車と車が衝突して事故で死んでしまった。 祖父母はもう他界してるし、親戚と呼べる人は一人もいなかった。 だからお父さんの葬式にはあたしとお父さんの友達家族数名という悲しい葬式になった。 お父さんの親友のおじさんが引き取ろうかといってくれたんだけれども おじさんの奥さん、つまりおばさんが猛反対したらしくて 引き取ってもらえず今は一人アパートで暮らしている。 (お父さん寂しかったんだろうな・・・・) 気がつけば私は横断歩道の前に立っていた。 信号が青にかわって一歩踏み出そうとしたんだけどどうも踏み出す勇気がなかった。 私のうしろや横にいたサラリーマンや中高生の背中を見送って 全員わたったのを確認すると、再び私もあるきだす。 横断歩道の真ん中辺りまで来た時、何か嫌な予感がして パッと横を見てみる。 そこには信号無視をした車が、私の方に向かって走ってくるのがみえたんだ。 運転手は気づいてないらしく、呑気に車を走らせてる。 横断歩道を渡りきった人々が私をみて驚いているのは見えなくとも想像できた
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加