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「ど、どうして?」
「どうしてって、一度も頼まれてないから」
「そんなことって、ありえる話なの?」
菜穂は理解できないという様子で眉をひそめた。
「実は私も、前の彼にいつもするように言われていたことだから、樹利もすぐに言い出すんだろうなって、どこかで覚悟みたいなものをして来たんだけど、今まで一度も頼まれたことがなくて……」
「そ、そうなんだ、そうだよね、頼まれてもいないのに自分からしないよね」
呆然と呟く菜穂に、思わずプッと笑った。
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