ある兄妹の話し

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俺の腕に何かがとまった。 間髪いれずに叩き潰す! 手のひらをみる。 うん。別に珍しいもんじゃない、ただの蚊だよ。 真夏の夜…暑い。 ひたすらに暑い。 太陽さんが寝てる時ぐらいもう少し涼しくならんもんかな? まさに熱帯夜だな…こんな日はクーラーの効いた部屋でナマケモノみたいに怠けたいな。 なのに… 俺の今いる場所は木々が生えまくり、雑草が生い茂った、山の中だ。 見渡しても、自分の背丈よりも高い草、夜空を隠している木々しか見えない。 …何でこんな所にいるのかって? その原因は目の前にいる宇宙女だ。 あ、宇宙女が何か叫んだ。 「はい!全員注目~!!」 はて?この場合の全員とは虫さんも入るのだろうか? それとも俺には見えない何かがこの女には見えているのか…? 周囲をみてみる。 木と草と飛び回る虫が懐中電灯の光で確認できた。 あとは、目の前にいる宇宙女だけだ。 うん。やっぱ宇宙女以外には俺しかいない。 「バカだろ お前?俺しかいねぇだろうが」 ツッコむ所が俺の優しさじゃね? 「今日の活動内容を発表したいと思います!」 あ、流された。 「私の出版した新聞は読んでいるとは思いますが…」 あぁ読んださ。まだ20年前の経済新聞を読んだ方が幾らか面白そうだったけどな。 「フー・ファイター、つまり未確認飛行物体を探しても見つけるのは至難の技と思われるので…」 良くわかってんじゃん。至難の技つぅか不可能だと思うがな。 「あそこに侵入して情報を集めたいと思います!」 そう言って宇宙女が指差した先にあるのは、今は使われていない元美空陸軍の基地だった。 廃屋だったのは今は昔の話し。 今はボロボロ。 爆撃でもされたのか建物のいたる所は崩れており、その周りは雑草が生い茂っている。 というか、建物というよりはコンクリートの塊に見える。 「バカだろお前。頭にウジでも湧いてんじゃねぇのか?前世からやり直して来いよ。」 ったく、毎日毎日よく飽きないな。宇宙人探し。 てか、あんな所にいったい何があると思ってんだこの女は? 「じゃ、出発~!」 あ、また流された。 …まぁ、今に始まった事じゃねぇからな。 肝試しがてら宇宙人探しでもやりますか!
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