ある兄妹の話し

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美空陸軍の基地の残骸ともいうべき所を只今探検中…。 しかしなぁ、天井が崩れてるわ通路自体が塞がってるわでなかなか前に進めない。 …意外と広いな。 この基地は外から見たら狭く見えたが、中に入って見ると意外と広く、通れない通路もある為時間ばかりが無駄に過ぎていった。 てか、ここってさっきも通らなかったかな? 基地内は壁も床も天井も全てがコンクリートで出来ており、正直同じ通路にしか見えなかった。 「…カスミ、ここさっきも来なかったか?」 「ううん、ここは初めてだよ。」 …即答…か。 この宇宙女。バカだし、変態だし、頭のネジが10本は外れてるが、それでも記憶力だけは信用できた。 ー完全記憶能力ー こいつは、一度でも見たり聞いたりした事は絶対に忘れないのだ。 うん、凄く羨ましい! 俺もその能力が欲しかったよ…。 まぁ、つまりコイツがいれば、道に迷うことはないってわけだ。 「ねぇ、ツバサ?…ここの噂、何かしってる?」 適当な部屋に入って中を物色中に、カスミがそんな事を聞いてきた。 …噂ねぇ。さぁどうだかな…。 「いや、知らねぇな。何かあんのかよ?」 「うん、ここってね、終戦後も普通に兵隊はいたんだって。でも、いきなり消えたって言われてるの。」 いきなり消えた? また漠然とした噂だな。 「…何じゃそりゃ?みんな実家に帰ったとかか?」 適当な書類を手に取ってみる。風化し過ぎて何が書いてあるのかもよくわからないそれを、元の位置に戻しながらカスミの方を見る。
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