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カスミは部屋の中を歩き回っている。
色んな場所にライトを向け、何かないか本気で探しているようだ。
「終戦後暫くして、一夜にして全員が消えたんだって。…当時は神隠しって言われてたみたい…」
…神隠しねぇ?
「もう一つあるの。新聞にも書いてたけど、フー・ファイターが最近目撃されたのって、多分…ここの真上っぽいのよね。」
…あ~なるほど。だから今こんな所を探索しているのか。
「つまりだ、人が消えちまったのはUFOのせいだと言いたいわけか?」
カスミが俺の方をみた。
すっごい笑顔だった。
「そう!この2つの事柄を結びつけると、答えは1つしかないの!!」
…これを本気で言ってんだからな、コイツは。
「さぁ!くまなく探しましょ?
もう宇宙人でもUFOでもミステリーサークルでもいいから!絶対に何かあるわよ!」
…やばいな。
コイツ多分、何か見つかるまで帰らない気じゃねぇかな。
その時、視界の端で何かが動いた気がした。
「……?」
そちらの方を見る。
壁が崩れ、そこから外の様子が見える。
…今のは何だ?
その壁の隙間から見える外を、何かが横切った様に見えた。
隙間に近づこうとするが、やけに足が重く感じる。
ドクンッ ドクンッ ドクンッ
心臓の音が異様に大きい。
何もいるはずはない。
ましてや、こんな所に俺たち以外の人が居るとは思えない。
隙間に近づく。
月明かりで外の様子は見える。
暗い闇の中に静かに佇む木々、生い茂った雑草。
他には何も見えない…
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