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《1》
午前八時。
トヨの伝言を住職に伝えるため、お盆におしぼりを乗せて、倫広は長い廊下を歩き出した。
何故か無性に緊張する。葬儀の連絡をするのが初めてということもあるが、他にも理由はあった。
ここの住職に会うこと自体が、緊張の元になるのだ。
天巌寺第三十五代目住職...
輝沼 照玄(テルヌマショウゲン)
先ほど、トヨが、"テルちゃん"と呼んでいたのが、ここの住職。
鎌倉時代から続く、由緒正しき天巌寺を継ぐ、大和尚になる。
そんな住職に会うのが、なぜ緊張するのかと言うと、それがこの時間帯になるからだ。
午前八時...
早くもなく、遅くもないこの時間帯は、正直、微妙な時間帯。
何が?...と、言われれば答えは一つ。
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