テルテル坊主

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しかも、照玄和尚について話すべき点は、それだけじゃない。 いや... 正直、話始めるとキリが無いくらい、とにかく普通という言葉が不釣り合いな方なのだ。 この寝室の扉にしてもそうだ。 まるで、宮殿のような重厚感溢れる、えんじ色の扉には、金の装飾が施されている。 周りは当然、和装なのだが、ここだけ洋風というアンバランスな造り... そもそも、お寺の住職になるのだから、建前だけでも質素にいくべきではないのか...と、さえ思えてしまう。 だが、当然そんなこと言える立場にいないため、倫広は息を飲んで扉を叩いた。 「和尚...照玄和尚っ。倫広です。お伺いよろしいでしょうか」 返事はなかった。扉に耳を当ててみたが、中の音は一切聞こえない。 .
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