4596人が本棚に入れています
本棚に追加
しかも、照玄和尚について話すべき点は、それだけじゃない。
いや...
正直、話始めるとキリが無いくらい、とにかく普通という言葉が不釣り合いな方なのだ。
この寝室の扉にしてもそうだ。
まるで、宮殿のような重厚感溢れる、えんじ色の扉には、金の装飾が施されている。
周りは当然、和装なのだが、ここだけ洋風というアンバランスな造り...
そもそも、お寺の住職になるのだから、建前だけでも質素にいくべきではないのか...と、さえ思えてしまう。
だが、当然そんなこと言える立場にいないため、倫広は息を飲んで扉を叩いた。
「和尚...照玄和尚っ。倫広です。お伺いよろしいでしょうか」
返事はなかった。扉に耳を当ててみたが、中の音は一切聞こえない。
.
最初のコメントを投稿しよう!