―其ノ壱―

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 平謝りで許しを請う理将の前に仁王立ちする、般若の形相のきずな。その小さな体は「危ないっ!」という言葉と共に飛び込んで来た育により連れ去られていった。  一体何が危ないのか。そんなことはどうでもいい。一瞬ではあるものの、彼らは確かに見たのだ。間近にまで接近してきた、激しく動き揺れる彼女の乳を。  そして育ときずなが視界から消え、向こう側に立っていたのは照子。顔は完熟トマトの如く赤くなり、頭や耳から煙が上がっている。ここで彼らは、育が何に対して危ないと言ったの理解した。  理解したところで、どうしようもないのだが。 「はっ、ははははははっはは恥ずかしいですぅぅぅぅぅぅっ!!!」  発現。言技“穴があったら入りたい”。地獄の門が開くかの如く口を開けた砂浜に、大介達は次々と飲み込まれていく。勿論、無関係のシャギー、拳、速人も巻き添え。落下した上に地盤が緩いので砂が穴へと流れ込んでくる。 「くっそ! 足が埋まって動けねぇ!」 「よせ瀬野っち! 動けば動くほど砂が落ちてくるって!」  脱出を試みている彼らを、女子達が憤怒の表情で見下ろす。 「あのー……助けてはいただけませんでしょうか?」  極力丁重な言葉使いで大介が尋ねてみる。懇願する相手は、これまでも幾度となく天使のような優しさを見せてきた叶。ニコリと微笑み、彼女は言葉を口にした。 「頭だけ残して埋めたら面白そうだね」  かくして、浜辺に四つの生首が爆誕するのであった。  ◇  白い砂浜、青い海、潮の香りに水着美女。楽しみで溢れているはずのビーチにて今現在大介達五人がたっぷりと味わっているのは、ジリジリと照りつける暑さのみである。 「何故こんなことに……六原のせいだぞ」 「瀬野っちが目隠し取るからだろ。指摘さえされなきゃ俺の秘策は完璧だったのに!」 「自分一人だけ楽しもうだなんて卑怯なんだよ。お前それでも変態四賢者の一人か!」 「瀬野っちだって自分の言技で好き放題暴れてるじゃんかよ。皆のヒーロー飛火夏虫ってな」 「喧嘩はよすんだ。よそうよ。よすべきだ。虚しさが増すばかりだよ」  生首大介と生首理将の喧嘩を、生首シャギーが仲裁した。大介と理将には再度目隠しが巻かれているため、彼らは海を眺めることすらできない。
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