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「アンタら、高校生?」
「え? そうだけど」
「よーく聞きなさい。アタシはこう見えて二十歳なの。つまり年上。わかった?」
そう言われても、女の子のプロポーションには説得力が皆無である。身長も胸もきずなレベル。きずなが高校生であるということも疑わしいのに、同レベルの女性が成人しているなど、とても信じられない。
「大人ぶりたいのはわかるけど、あんまりお兄さん達を困らせてはいけないよ。いけないさ。いけないのです」
「ムキーッ! 待ってなさいよ! 今証拠の免許証を……って持ち歩いてないわよアホーッ!」
女の子はイライラを抑えきれない様子で、犬のリードをブンブン振り回している。その様子を眺めながら、シャギーが大介に耳打ちした。
「なんだか、きずなに似ている子だね」
「あー、確かに。あの体型とか性格とかな」
「このまま放っておくわけにもいかないね」
「それもそうだな。おーい!」
大介が呼びかけると、女の子は相変わらず不機嫌そうな目を向ける。
「とりあえず人のいる方まで行こうか。その久蔵って人探すの手伝うからさ」
「え? あ、そうなの」
眉間のシワが消えたかと思うと、女の子は打って代わってモジモジと恥ずかしがり始めた。よく動き様々な反応を見せる辺りが、本当にきずなとよく似ている。
「どうかしたのか?」
「ううん、えっと、見ず知らずの女性にそこまで優しくするってことは……ア、アンタ私のこと好きってこと? ひょっとして、これが噂に聞くナンパ?」
「いや、違うけど」
「ど畜生ッ!」
女の子は鬼の形相で砂浜を踏み付ける。どうやら、かなり恋愛に飢えているようだ。
「まぁ、アンタなんてどのみちお断りだけどね!」
「随分ませた子だな。あ、そういや名前聞いてなかったな。俺は瀬野大介」
「で、僕が社木朱太郎。気軽にシャギーと呼んでくれて構わないよ」
まだ心の底から大介達を信用したわけではない様子の女の子であったが、他に頼れる人もいないと判断したのだろう。渋々といった顔で自己紹介を始めた。
「アタシは菊野千代。こっちは犬の次郎七(ジロシチ)。短い間だろうけど、よろしく」
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