―其ノ壱―

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 ◇ 「ここは眼福の楽園か!?」  ビーチの中心で、拳が歓喜の声を上げた。  無事アキラから逃げ切ることに成功した理将、拳、速人の三人は、本来の目的を果たすべくこのビーチの何処かで遊んでいる女子達を探していた。  のだが、その目的は現在消えつつある。何故なら、女子と合流せずとも水着美女がそこら中に溢れているからだ。 「どうだ! 俺が掻き集めた情報から厳選に厳選を重ね選び出した全国屈指の美女が集まるビーチのクオリティは!」 「感服です! 流石は四賢者!」 「一生付いて行きます!」 「ふはは! わかればよい!」  楽園を堪能している様子の三人であったが、それでもなお満たされぬ欲求もあるようだ。より正確に言えば、心残りである。 「でもやっぱり、委員長の胸は拝みたいよな」 「俺も大山に同意だ。六原はこっそり見ていたから満足かもしれんがな」 「いやいや、俺だってやっぱちゃんと自分の目で拝みたいっつーの! んじゃあ、やっぱ女子達探すか」 「すんません。ちょっといいッスか? 人を探してるんスけど」  これからまさに人探しをしようとしている時に、人探しの相談をされた三人。振り返ると、水着にパーカーという出で立ちで、首にヘッドホンをかけている何とも気怠そうな男が立っていた。理将達よりもいくつか年上のように見える。 「はぁ。どんな人ですか?」 「くそダセェ眼帯付けた銀髪の女なんスけど」  男から情報を聞いた三人は、互いに顔を見合わせた。そこまで独特な特徴を持つ女性を目撃していたのなら、おそらく記憶しているはずである。三人共見た記憶がないことを確認すると、代表して速人が口を開いた。 「申し訳ないが、そういった女性は見ていない」 「うおっ、何スかアンタ? 何故ビーチでヘルメット?」 「何だと貴様! ビーチでフルフェイスヘルメットを被ってはいけないという法律でもあるというのかッ!」 「落ち着け風切っち! 一般論では向こうの反応が正しいって!」  人探しの男は、理将に押さえられている速人を変質者でも見るような目で眺めている。
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