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何故そんなに自信あり気なのかはわからないが、きずなは無の一歩手前である胸を張りセクシーポーズを決めている。
「きずな……ドンマイ」
「感想が哀れみ!? どういう意味だコンチクショー!」
両腕をグルグルと振り回し突進してくるきずなを、大介はいつものように右手一本で頭を掴み無効化する。
「悪かったよきずな。似合ってる似合ってる」
「ホント? 可愛い?」
「ああ、可愛い可愛い」
百パーセントお世辞ですというような褒め方であったが、褒められたことには変わりないので「許してあげる」ときずなは機嫌を直した。
「なぁきずなっち。他の女子はどうしたん?」
男連中の誰もが気になっていることを、代表して理将が尋ねる。
「うん。そのことなんだけど、皆にお願いがあるの」
話を切り出したきずなは、神妙な面持ちをしている。女子達に何か不測の事態でも起きたのだろうかと、一同に緊張が走った。
「このお願いを聞いてくれないなら、他の女の子達をここには呼べないの。いい?」
答えは決まっている。男達は女子の水着(きずなを除く)を見るためにここまで来たのだから。
力強く頷く大介達。彼らの返答にきずなは笑顔を見せ、早速お願いを口にした。
――そして、男子全員に目隠しがされた。
「……何だこりゃあああぁぁぁ!」と、大介が叫ぶ。
「スイカ割り用に持ってきた布だよー」
「いや、そういう意味じゃなくて」
的外れな返しに大介は溜息を落とした。
夢の世界を目前にして、男達の前に突如立ちはだかった“目隠し”という名の壁。これでは女子達と合流できたところで意味がない。寧ろ生殺しである。
「恐れていた予想が現実になってしまったね。しまったよ。しまったな」
水玉模様の手拭いで目隠しをされているシャギーが、顎に手を添え眉間にシワを寄せた。
「どういう意味だシャギー。お前はこうなることを予測していたというのか?」
「難しいことじゃないさ速人君。ほら、僕らのグループには恥ずかしがり屋な子がいるだろう?」
「あー……」
ここで男子一同は全てを理解した。
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