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ドキドキで、言葉も出ない。
「……結婚しよう」
とても、シンプルな言葉が、想いが、ストレートに心に届く。
スーツのポケットから差し出された指輪のケース
開かれた箱の中で輝くリング
……なによ
私……
充分、愛されてるじゃない……
「まだ、喧嘩のこと、怒ってるのか?」
返事の遅れた私の顔色を窺う。
「……ううん」
もう、すっかり、そんなこと忘れてた。
「じゃあ、返事は?」
相変わらずの、ペースで、直人が私の心を引き出す。
もう、答えなんて、分かっているクセに……
微笑みを浮かべた私の王子様が、私の左手を取って指輪をはめる。
「幸せにするよ」
輝く指輪と、キラキラの言葉が、私の心を跳ねさせる。
「美砂」
ほら、また私の心を読もうとする。
読まれる前に、私は、直人の胸に、飛び込み、耳元で囁いた。
「直人……やっぱり、愛してる」
直人の大きな腕が、私を強く包み込んだ。
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