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しかし酔っ払ったゴロツキ達は、相手の顔色くらいで退くような聞き分けの良さは持っていなかった。俺、ラオ、シャリルをガン無視してキョウを睨みつける。
「オウオウ、何だぁ? テメェ俺たちを嵌めたってのか?」
「良い根性してるじゃねぇかコラ。あァ?」
それにしても、絵に描いたようにベタな絡みっぷりだなぁ。あまりに直球過ぎてキョウも若干戸惑っているようだ。
ふーん。キョウが困ってる顔ってのも久しぶりに見たし、ここはのんびりと観戦してようかな。視線の先では、依然ガンをキョウに飛ばし続けるゴロツキたち。
いやいや、こいつら本当にーー
「お前達が何を考えているのか知らんが誤解だぞ。俺は美人局などしていない」
「嘘つけやコラ!」
「そうだ! 女三人もはべらせやがって!」
「赤髪と金髪だけかと思ったら、新たに黒髪まで連れてくるたぁたいした色男ぶりじゃねぇか!」
本当に、ぶっ飛ばしてやりたい。
「つーかぶっ飛ばす! オルァ!」
「ぐおっ!? (ドォンガラガラクタッ)」
「な、何だテメェ! 女のくせに!」
「黙りやがれ節穴ども。お前ら俺の逆鱗に触れたからにはちょっとシャレにならんくらいまで蹴るからな」
「……まったく、荒事は避けたかったんだが(ドゴォ!)」
「ギャッ!」
キョウ。そういうセリフは人を殴りながら言うものじゃないよ。
「ジョーっ!? てめえら、よくも! 覚悟はできてんだろうなぁ!」
「どうなっても悪く思うなよ!」
「はっ! そりゃこっちのセリフだ!」
「まったくだな。……俺たちに喧嘩を売って、無事で済むと思うなよ?」
そして俺たちはお互いの誇りを懸けて、持てる全力を振り絞り拮抗した勝負を「くそぉ! 覚えてろーっ!」「夜道に気をつけろやァ!」拮抗した勝負は十秒で終了した。ゴロツキ改め負け犬たちは逃げるように酒場から飛び出していった。
あとに残ったのは、俺、キョウ、シャリル、ラオの四人と店主だけ。
ラオが一瞬で散らかった店内を見回して言う。
「アンタら本当に腕っ節は強いのねぇ」
まーな。胸を張って答える。
「トーゼン! 何たって俺たちは二年間もみっちり修行してきたわけだからな!」
「校長に比べれば塵芥も同然だ」
「塵芥って……あのひとたち、怪我とか大丈夫でしょうか……?」
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