もう一人の

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いかにも頑丈そうな金属製の扉をあけると、そこは広く、薄暗い地下室だった。少しの間目を凝らすと、その全容が見えてくる。 変わった部屋だ。 部屋の左を見ればスパナやペンチ、ドライバーやドリルなど様々な工具が置かれ、右を見れば洋服ダンスやベッドといった家具が目に付く。 「んー……コスト高いわね、このパーツ。何かで代用しないと予算オーバーしちゃうけど……あそこは羽振りいいし大目に見てもらえるかしら」 そんな統一性のない物たちが配置された部屋の真ん中で、一人の女の子が馬鹿でかい机に向かって何やら呟いていた。こちらには背を向けているので何しているのかはわからんけど、どうせどっかの企業からの依頼だろうな。大方設計図と睨めっこでもしてんだろ。 「ラオ、久しぶり」 「ん?」 俺がその後ろ姿に声を掛けると、女の子ーーラオは作業の手を止めてこちらを見た。 その動きに合わせて、腰まである赤い髪が揺れる。 「あら、スイとキョウじゃない。久しぶりーーって、どうして二人ともそんなにボロボロなのよ?」 「少し校長と鬼ごっこするハメになってな……」 苦々しげにキョウが答える。まぁ、走りながらあの雷攻撃を全部避けるとか無理だよな。直撃は免れたとはいえ、俺もキョウも身体中ボロボロだ。 「どうせサボりでもしたんでしょう? 授業くらいちゃんと受けなさいよ。アンタら問題児なんだから」 「そもそも学校自体に来てないラオがそれを言うか……」 俺がジト目で見ると、ラオは「それもそうね」と頷き、今までつけていたゴーグルを外した。隠れていた素顔が露わになる。 引きこもって作業にばかり精を出しているからか肌は白く、どこかやる気なさげな瞳は常に少し閉じている。一番特徴的なのは、その髪の色だろうか。
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