はじまり

2/3
前へ
/77ページ
次へ
ある日あるとき、ある場所で、ある女の子は退屈そうにステージを見ていた。 体育館の中は薄暗く、ステージには沢山のスポットライト。 各学年が今の今まで準備してきた劇を行っている。 保護者や生徒たちは皆ステージにくぎ付けだった。 ある女の子は体育館の上にある柔道場の窓から見ていた。 後ろには写真部の写真がベタベタと貼られている。 車椅子からはステージがよく見えない。 高校生になって初めての文化祭なのに気分は沈むばかりだ。 漫画やドラマでよくみる出店は一つもない。 お化け屋敷も、コスプレ喫茶もない。 「つまんない。」 なれない車椅子に無表情で女の子はつぶやいた。 そんな声までもが周りの楽しそうな声に掻き消された。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加