はじまり

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女の子は車椅子を回し後ろの写真を眺めた。 作者を見ると二人くらいの名前ばかりだ。 「これも梅原準、こっちは梅原俊。これは梅原準。」 結局5枚以外は全て梅原準か俊と言う人物の作品だった。 ある一枚の前で女の子は車椅子を止めた。 白黒写真。空が写されている。 女の子はその写真を食い入るようにみた。 「それ気に入った?」 突然女の子に声がかけられる。 首からカメラを下げた女子生徒がたっていた。 「え、…あぁ、まぁ…はい。」 車椅子の女の子は生返事をした。 「それね、あたしが撮ったのよ。吉谷優希さん。」 知らない人物に自分の名前が呼ばれ顔をあげる。 「あたしね、あなたの事を勧誘しにきたのよ。」 その瞬間、ちょうど劇が終わったのだろう。 体育館に歓声と拍手がこだました。
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