一方的な思いは、しばしば拒まれる

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 まさかの展開に、ガヤルドは動転した。 「ちょっ、俺はまだ依頼受けるとは言ってないぞ!」  しかし、受付嬢はガヤルドの抗議など耳に入らない様子で、にっこりと微笑んだ。 「ニャンゴちゃん、面白そうな依頼が入ってよかったね! 護衛三名で、登録しておきまーす」  そう言って、受付嬢は、ヒゲ男の依頼書にぽーんと契約済のハンコを押してしまった。 「いや、だから俺はニャンゴじゃないし! ……って、待てマテ。今、護衛三名って言った? でも登録は、ニャンゴと俺の二人のはずじゃ?」  そう口にすると同時に、ガヤルドはゾクッと嫌な気配を背後に感じた。  受付嬢がにこにこと発した言葉に、さらにぞわぞわと背中の毛が逆立っていく。 「あれー? あちらの方は、猫ちゃんのお連れさまでしょ?」  ガヤルドは恐る恐るふりかえりながら、受付嬢の視線をゆっくりとたどった。  ニャンゴが立つ、太い柱。その後ろから、ゆるいウェーブがかった金髪頭が半分だけ顔を出して、にまにまとこちらを見つめている! 「でっ、出たーーーーっ!!」  ガヤルドの絶叫が、ギルド受付フロアにこだました。
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