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そんな相方の横顔を見て、ガヤルドは大きな上体へさらに息を入れて黒毛をふわりと膨らませると、はーっと息をついた。
「ねえ、ニャンゴってば。あいつ、何でずっと俺たちの後をつけてくるの?」
「知らん」
ただそっけなく、ニャンゴと呼ばれた男は答えた。顔は正面に向けられたままで、背後を振り返る様子もない。
仕方ないな、といった表情で、ガヤルドは爪を納めた毛むくじゃらの指で額をカリと一度なぞった。
それから急にぴたりと足を止めると、振り返りざまに叫んだ。
「おい、お前。いい加減、俺たちの後をつけるのヤメロ。ウゼーんだよ!!」
ガヤルドが振り返った街角……の白壁の陰から、ゆるいウェーブがかった金髪頭が半分だけ顔を出して、にまにまとこちらを見つめていた。
その異様な光景に、ガヤルドはまた、叫ばずにはいられなかった。
「うーわ、きんもっ!」
ドン引きするガヤルドに、金髪のにまにま優男は嬉々として、こう言い放ったのだった。
「トゥオーノです! ニャンゴさん、俺を弟子にしてくださいっ!!」
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