一方的な思いは、しばしば拒まれる

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「ちょっ、ニャンゴ! 今、さらっと俺のこと『猫』って言ったでしょ?!」 「正確には、『怪力バカの猫』、な」  静かな相棒の返事にガヤルドは金色の目をカッと見開き、耳を再びぴん! と立てた。 「ちょっとぉ、ニャンゴってば。俺は猫じゃねぇ! パンサーだって、いつも言ってるじゃん?!」 「興味がないことは覚えられん」  ガヤルドの耳はいったん反撃するようにぴーんとなったが、やがてしおしおぺたんと垂れてしまった。言葉を失いがっくりとうなだれる黒猫、もとい黒パンサーを尻目に、相変わらず無表情に進行方向のみを見つめ続ける、涼しげな横顔。  ニャンゴは、口でガヤルドに負けたことがなかった。
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