一方的な思いは、しばしば拒まれる

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 二人が向かう老舗ギルド「アインス=リヒト」は街の中央区にあり、少し坂をのぼったところにある。  ガヤルドは、ギルドの建物が見えたあたりから頬のひげをそわそわとなではじめた。  ギルドに到着すると、ガヤルドは急に背筋をしゃんと伸ばした。ただでさえ大きな体をさらに伸ばしたものだから、背後のニャンゴの姿はガヤルドの陰に隠れてしまった。  扉からギルドの中に入ると、正面に受付がある。そこには、来客にほほえみかける受付嬢がいた。  ガヤルドは、受付嬢に大きな金色の瞳のウィンクをひとつ投げると、大きな声で挨拶をした。 「おはよーさん。いやー、朝からキミの笑顔を見たら、眠気なんかどこかにすっとんでいっちゃったぜい!」  ついさきほどまで大あくびをして歩いていたのが嘘のように、すっきりと爽やかな笑顔を向けるガヤルドだった。 「あらー、昨日ギルドに登録してくれた猫ちゃんじゃない! どうどう? 面白そうな依頼は見つかったかしら?」  受付嬢はガヤルドからのウィンクも、「猫じゃなくて、パンサーね! あと、俺の名前はガヤルドだから!」という言葉もどこふく風。そのさらさらの深い蒼色の長い髪のごとく、全てをさらりとスルーして、ガヤルドからリストをにっこりと受け取った。
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