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「結局、陽子になにも聞けなかったわ…」
深夜の自室で私は独り呟く。
あの後陽子と私はもう一回ゲームをやって、同じ電車で帰ってきた。その間に彼のことを聞くチャンスはいくらでもあっただろう。だけど、私は答えを聞くのが怖くて聞けなかった。
そもそも、なんで私は答えを聞くのが怖いのだろう。別に陽子が誰と付き合っていようと私には関係ない。
でも、そこには陽子が誰かと付き合うことを受け入れられない私がいた。なぜか陽子が遠くへ行ってしまうような感じがして…。
「陽子…ぐすん…」
そんなことを考えていると、なぜか涙が出てきてしまった。なんでこんなことで泣かなきゃいけないのよ…。
『プルルルル、プルルルル』
「!?」
突然、携帯電話の着信音が鳴り響いた。私はびっくりして、慌てて画面を確認する。
「…なんでこのタイミングで……」
電話をかけてきたのは陽子だった。
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