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「戸川、人様の迷惑になる前に席を立とうよ」
俺が声を掛けると、戸川はすぐさま席を立った。
どうやら迎えに来て欲しかっただけらしい。
「なんで、負けるかなぁ?」
歩きながらぶつぶつ言う戸川は気付いていないんだな。
戸川は頭いいくせに、対戦ゲームの攻撃は単調過ぎるんだ。
牧田も知ってるから、牧田が勝つのも当たり前。
「あ、もう来た」
戸川と俺が側まで来た事に気がついた牧田が言った。
『もう』って、来てほしくなかったみたい。
「やってみると結構面白いのな」
俺が来たにも関わらず、ポーカーの前の椅子から降りない牧田。
あ、ゲームが面白くなっちゃったから、俺がもう来ちゃったって事なわけね。
「牧田は初めて?」
「ん、そう。普段お前がやってるの見ててやるのは初めて」
それじゃあ、楽しいだろうな、人のメダルだし。
どんだけ減ったんだろう?
結局俺と代わる気が全くなく、ポーカーを続ける牧田の背後から画面右隅を覗き込んだ。
「牧田、お前何が出たの?」
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