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「まず、俺は思う訳だよ。主人公の妹がいる率の高さ」
「まぁ、それはわからないでもないかなぁ」
俺が語りかけたのは、クラスメイトの富士見結愛(ふじみゆめ)。茶髪のセミロングが特徴の少女で、席が近いことと同じく生徒会に入ったこともあって親好はそれなりにある。
「ああいうのって一人っ子の幻想だよな」
「無理もないんじゃないかな。私は一人っ子だから、兄弟に憧れる気持ちはなんとなくわかるし」
「…?確かアンタ妹いるわよね」
牧瀬文香(まきせふみか)。金髪をロングツインテールにして、少し天の邪鬼な我らが生徒会長。噂だと凄い金持ちの家らしい。背は俺の胸くらいしかなく、端的に言うと凄くちっちゃい。言われなければ年上だとわからないだろう。
「ええ、いますけど」
「どうせ妹持ちなんて、可愛くないとか要らないとか言うんでしょ?もう聞き飽きたわよ」
「ええ、まぁ…。中学生にもなって『お兄ちゃん』呼びでべったり甘えてくるのは考えものですよね」
「えっ」
「リアルでやられても鬱陶しいだけなのに、何でそんなのに憧れるのか。今どきのラノベ作家の気持ちはわかりませんな」
「……」
結愛も会長も、微妙な表情で黙りこんでしまった。はて、俺は何か変なことを言っただろうか。
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