3人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ちょっと催してきた。ちょっと花摘んでくる」
女子軍団にトイレに行く旨を上品に伝えつつ、俺は生徒会室を後にする。ストレートに「トイレ行ってくる」と言ったら顰蹙を買うのが、異性と接する時の面倒な所である。
さて、そんな俺が居なくなり女子の花園と化した生徒会室では、ガールズトークが繰り広げられていた。
「…文香会長」
「どうしたの?須仁佳ちゃん」
「来藤先輩がライトノベルがつまらないと言ってる原因について…その…ちょっとわかったかもしれません」
「私も。…てゆーか、会長のおかげで確信しました」
「どういう意味よっ」
結愛は黒板に向かい、チョークで何かを箇条書きし始めた。
「会長はそういう本を読んだことがないのでわからないかもしれませんが、さっき来藤が挙げてた点はですね。ライトノベルではもはやお約束とも言われているテンプレ展開なんですよ」
「そ、そうなの?」
「甘えん坊な妹さん、開放的なお姉さん、先輩を除けば女子しかいない生徒会、そしてツンデレな文香会長…」
「だ、誰がツンデレよ!」
声を荒げた会長にびくっとなる須仁佳。瞬時に「ごめんね」と謝ったのは言うまでもない。
「つまり、です。アイツがラノベをつまらないと思う理由…それはマンネリだけじゃない」
「すでにそんな体験を、来藤先輩が常にしているからではないでしょうか…?」
二人の意見を聞き、複雑な表情で腕組みする会長。幼い見た目とのギャップが大きく、大変微笑ましい。
「…?どうかしましたか、会長」
「いや…仮にもしそうだったとしても、どんな顔すれば良いのか分からないんだけど」
「…笑えばい」
「須仁佳ちゃん!それ以上いけない」
ガールズトーク咲き乱れる生徒会室に、結愛のツッコミが響いた。
最初のコメントを投稿しよう!