愛するがゆえの嘘

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画面に映った美杏の瞼は 赤く腫れあがっている。 こんなんなるまで 泣いてたんやなって思ったら 無性にその姿が愛しくて。 「なんやねん、 お岩さんみたいやな」 それでも減らず口を叩く俺に 美杏はキョトンとしとる。 『お岩さんって何?』 …ああそうか。 美杏は日本育ちやないから お岩さんを知らんのか。 それにちょっとだけ安心して。 「泣き腫らした お前がめっちゃ可愛いって 褒めとんのや」 その言葉に頬を赤く染める美杏。 今日だけは、もう美杏が いらんって言うまで たくさんの言葉をあげよう。 「俺にはお前しか見えん。 お前がおらんかったら 明日も見えん。 せやからずっと俺の傍におって」 『……バカ……』 返って来た言葉に小さく笑う。 「お前、恥ずかしい時は 必ずそれ言うな。 これからはお前が 俺にバカ言うた時は 好きやって言葉に 脳内変換させてもらうわ」 画面の向こうでクスクス笑った 美杏の笑顔に胸がぎゅっと 締め付けられる。 この笑顔を俺はずっと 守って行かなあかん。 何があっても、 たとえ嘘をついてでも。
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