責任

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「吉野、お前倉本の連絡先は 知っとるんか?」 「…はい、知ってます」 「ん。 ほんなら連絡して呼び出したれ。 俺が一緒やって言うなよ」 「…分かりました」 微かに震える手で 吉野はスマホを鞄から取り出すと 倉本の番号を見つめながら 戸惑っている。 「大丈夫や。 俺が守ったるから」 優しく落とした言葉に ようやく覚悟が出来たのか 吉野はゆっくりと指を動かし 発信ボタンを押した。 「…あの…吉野です…」 弱々しく言った吉野は いつもみたいに傲慢な女ではなく やけにちっこく見えて。 ホンマにコイツ… 一人で苦しんでたんやなって思った。 俺を誘った時とか、 東雲部長を口説いてた吉野は どこにも見えなくて、 なんとなく複雑な感覚。 「今から…お会い出来ますか…? …はい…あの…じゃあ駅前の コーヒーショップで待ってます…」 そう言いながら、 確認を求めて来た吉野の瞳に 俺は力強く頷いてやる。 ホンマは東雲部長に俺が 話してやったら 良かったんかもしれんけど 自分が犯した罪は… 自分で償わなあかんと思ったから。
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