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倉本と待ち合わせの
コーヒーショップに着いて
一番隅っこの席に吉野を
座らせてから一旦、店を出た。
いつもより帰りが遅くなるし
美杏に一応連絡せな。
3回ほどコールして
繋がった電話。
「おう、俺や」
『どうしたの?』
「あんな、後輩の吉野がな、
セクハラされとんねん」
『え?』
「そんでな、
これからその相手の男と
話しするで、帰り遅くなるけど
心配せんといてな」
俺の言葉にしばし沈黙した美杏。
…やっぱあかんかな…?
そんな不安を感じつつ
もう一度美杏に言い聞かせる。
「心配せんでええからな。
吉野はあくまでも後輩。
俺が惚れとんのは美杏だけやで」
『…違うよ。
セクハラされてるんだったら
セクハラ対策室に
相談した方がいいと思うけど』
「うん、そうなんやけど吉野がな、
東雲部長には話したくないって
言うんよ。せやから…」
『私には理解出来ない』
俺の言葉を遮って言った
美杏に言葉を失ってしもた。
『いくら後輩だからって…
橋本がそこまでする
必要あるの?』
「……………」
何も言い返せない俺に
美杏の突っ込みは容赦なく続く。
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