愛するがゆえの嘘

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「やっぱもう部長は知っとるんや」 俺の質問に東雲部長は クスクス笑いながら頷く。 「千夏が血相変えて 電話して来たからな。 橋本を止めてーって」 …どんだけ千夏もお人よしなんや。 そう思いながら肩を落とした俺に 東雲部長は笑いながら言った。 「その様子じゃ 最後まではやらなかった… ってトコか?」 「はぁ… せやけど千夏からあのタイミングで 電話が来んかったら… 俺、確実に吉野を抱いとった」 「…だろな。 それは男の性ってやつだろ。 男は愛情なんてなくても 女を抱ける生き物だし。 ま、ただでさえ吉野が振り撒く フェロモンは強烈だからな」 そう言ってビールを 口に運ぶ東雲部長を 思わず凝視してまった。 「部長そんな風に思ってたん?」 「そりゃそーだろ。 どんだけ香織を好きだって あんなにグイグイ迫られたら 少しは俺だって揺れるさ。 ただ俺の場合は、 人の目もある場所だったから 理性を保てただけって事」 意外やった。 東雲部長ほどの男なら 俺みたいにアッサリと 吉野に転がったりなんて 絶対にせんと思ってたし。
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