愛するがゆえの嘘

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東雲部長が帰った後、 俺はパソコンの前でじっと 美杏のアイコンがオンラインに 変わるのを待っていた。 …まるで犬やな俺。 お預けくらった犬や。 そう思いながら小さく笑って。 せやけど、やっぱし俺は 美杏が好きや。 気が強くて生意気で、 高飛車で…ツンデレやけど。 美杏はデザイナーで 俺はプランナー。 本職の美杏に勝とうなんて 元々無謀な挑戦やったんやし。 今まで何を意地に なっとったんやろ。 俺はデザイナーが描いたものを 夢やなくて現実にするんが 仕事やないか。 美杏が描く未来予想図を 俺が形にしてやったら ええだけの事やんか。 吉野にはホンマに申し訳ないと 思うけど… 俺が欲しいんは、やっぱし 美杏だけやから。 やがてパソコン画面の 美杏のアイコンが 緑色に変わって、 いつもやったら俺がいるか 確認してからしか掛かって来ない ビデオ通話の確認表示が 浮かび上がる。 その様に、美杏も 早く俺の顔が見たいんやなって そんな気持ちが伝わって来て。 やっぱし俺はコイツが好きや。 もう一度心でそう感じながら カーソールを滑らせた。
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