終章

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「俺は結婚に夢も希望も持ってなかった口。うちの両親が酷かったせいだろうけど」 男だし独りでいるのは全然問題ない。そう思う中で私に会って、一緒にいたいと思うようになった。そう言ってくれた。 「ずっと一緒にいるなら、結婚はするべきだと思うんだ。法律とかそういう意味でも。結婚で相手を縛るという事でなく、守る事が出来るのも確かだから」 そういう考えは男の人の視点なんだなと思った。私は女だから、一緒に生活すれば家事とか色んな事で相手を助けていけると思ったりしていたけど。 「何が言いたいかって、俺にもちゃんと先を考えていく気持ちはあるって事だから。不安な事があれば言って。幾らでも聞くし、一緒に考えるから」 そう言う桐生君を見つめながら、私も笑って頷いた。 彼が私との事を真面目に考えてくれてるのは嬉しかった。 少し見せた桐生君の家庭の事、何か複雑な事情を抱えたりしているのかも知れない。 「有難う。でも桐生君もだからね?私だって支えたり、一緒に悩んだりしたいから」 そう言うと彼は笑って頷いてくれた。 お互いに知らない事も多いと思う。必ずしも全て知る必要はないと思うけれど、知っていきたいと思う。背負う荷物は1人でより2人での方がきっと軽くなるはずだ。 「当面の問題は、昨日のアレを目撃されてないかだな・・・。会社の近くだからなあの公園。美月に迷惑をかけないように橘さんに頼み込んだのに、抱き合ってキスまでしちまったし」 「公園でも外れた場所だから、目撃はされて無いかもだよ?それに桐生君との噂なら私はいいよ」 「よくねーよ。また何かあったらどうするんだ」 「何かって?」 「・・・・・・」 「やっぱり、あの事知ってるんだ」 嫌がらせの件、やっぱり見られてたんだ。 でも、桐生君は何故か余り喋りたがらなかった。知ってても、もう私は平気なのに。考えすぎかも知れないけれど、何か隠してたりするんだろうか? でもそういう事すら彼ならきっと、私を思いやってくれる何かだと信じれる。
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