2008年9月某日 不明  秋月

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闇が辺りを包み込む。 俺達以外は何も存在しない闇が。 『それではルールの説明です~。これから御二人を4つのステージへ案内します~。そこで鍵となる4つのキーアイテムを探して、先程の協会に戻るだけという簡単なゲームです~。これがアイテムのヒントです~。』 〈ジョーカー〉は俺に向かい何かを投げた。 トランプ? それぞれのエースのカード…… 「……内容は解った……始める前に俺の質問に答えろ……それぐらい、いいだろ?」 『私はお喋りが好きですから構いませんが、早く始めた方がいいですよ~。死んじゃいますよ~。』 一刻も早くゲームを終わらせて、こいつを倒さなきゃならないのは解ってる。 だが、こいつを倒して戦いが終わる訳じゃないんだ。 少しでも情報を引き出す。 「……気にするな……まず一つ、智治の〈生気〉を回復させたのはターゲットが俺ではなく智治だからだな?放っておいても死んでいた智治を助けたのは、お前が殺す事に意味があるからだな……?」 『そうですよ~。正確には生きている内に飯塚さんの〈左腕〉を頂かなければいけないんです~。死んでから頂いても意味がないんですよ~。』 「手下のピエロを使い、智治を襲う予定だったが、幸か不幸か俺も居た。ピエロで邪魔な俺を殺そうとしたが失敗……そこで、お前はこの世界の力を利用して、俺を先に始末してしまう事にした……」 『貴方は本当に人間ですか~?そこまで解ってるんですね~。〈左腕〉さえ奪えば好きにしていいと、言われてるんです~。絶望する人間程、殺して楽しい遊びはありませんからね~。貴方が死んで絶望している飯塚さんを殺す……最高に楽しいじゃないですか~。』 いい趣味してやがる…… この仮面、ふざけてる様に見えて、かなりの知能犯だな…… 〈妖力〉自体は大したことないのにな…… 「……最後に一つ。誰に頼まれたんだ?お前に智治の〈左腕〉を持ってくるように言った奴と〈雲外鏡〉の言っていた〈主〉とは同一の奴だろ?そして、この夢の主こそ、お前達の〈主人〉じゃないのか……?」 『…………そこまではお答え出来ませんよ~。そんなにお人好しじゃありませんから~。それではゲームを始めましょう~。』 バカな奴だ。 一瞬だが、俺の質問に奴は口元の笑みを無くし、真顔になった。 それが何よりの答えだ。 そして、空間は再び歪みだし、最初のステージへと誘われる。
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