2008年9月某日 不明  秋月

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長い廊下に無数の襖。 何処もかしこも同じ部屋。 屏風、掛軸、囲碁盤、様々な面、壺、怪しい物は何もない。 そして、玄関までやってきた。 数体の鎧兜が存在し不気味に輝いていた。 一つ、不思議に思ったのは何れの刀も鞘しかない事ぐらいだった。 武器を持たせたくない配慮ぐらいにしか捉えず、俺は智治の所に行こうとしたが…… 「秀ー!こっち来てくれー!」 タイミングよく奥から智治の声が聞こえる。 流石はスポーツ選手、声がよく通る。 数分後、俺は智治と合流した。 一際広い部屋には玄関と同様、鎧兜が設置されていた。 しかし、直ぐに違和感に気付く。 20畳程の部屋は左右に8体ずつ鎧兜が置かれているのだが、左側には所謂、戦国時代を思わせる鎧兜。 ところが、問題は右側である。 「……和室だと、こんなに不釣り合いになるんだな……」 「絶対おかしいよな?」 西洋の甲冑……白銀に輝く鎧はあまりにも、この空間には不似合いだった。 そして部屋の中央に飾られた絵画。 「……安っぽい絵だな……」 トランプと同じマークの絵。 おそらくヒントなのだろう。 スペードのみ赤く塗られている。 他は黒いというのに。 「……何でスペードだけ赤いんだ?赤ってハートとダイヤだろ?」 「……スペードに関するアイテムがあるんじゃないのか?スペードねぇ……」 俺は甲冑へと近付く。 鎧兜と同じく剣は無く、鞘しかない。 しかし、一体の甲冑は違った。
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