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〈春秋探偵事務所 午後11時〉
すっかり夜も更け、皆の顔には疲れが見える。
あの晩から一睡もしていないので当然か。
一向に目を覚まさない秀君。
秀君に〈霊力〉を分け与えた姫野さんは色々な所に連絡をしている。
恐らくは全国の姫野家の分家であろう。
先程、秀君の実家に秋津家の分家の手配を頼んでいた。
全国に散らばった友人達。
それを日本を代表する〈霊能者〉の秋津家と姫野家が総力を尽くしてくれている。
「ん~。終わった~。にゃ~。」
電話を終えた姫野さんが伸びをした。
相変わらずな猫みたいなアクビをしながら。
「さてと、ウサギちゃんと姫っち、それにトマト君は寝なさい。休まないと体、壊すよ~?」
「大丈夫よ。皆が大変なのに寝てなんていられない。」
確かに皆の生存は確認できたが、安否は不明だ。
それに、秀君までこんな状態の時に僕達だけ休んでなんていられない。
……だけど……
「……そうしよう。僕達まで倒れたら、目覚めた秀君に怒られる。後は姫野さんに任せよう。」
渋々僕の言うことを聞いてくれた麻美ちゃんと姫を連れて2階にあがる。
これで終わりじゃないんだ。
休めるときに休んで、いざと言うときに備えないと。
「二人っきりだからって秀人に変な事しないでよ!!」
最後まで姫野さんに対抗する麻美ちゃん。
姫野さんはタバコを吸いながら笑顔で手を振った。
「……愛されてるね~。後はあんた次第だよ、秀人……」
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