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目の前に止まる真っ白な電車。
周りの薄気味悪い連中がゾロゾロと乗っていく。
降りる人間は一人も居ない。
「……仕方ねえわな。」
俺は自分に言い聞かせ、電車に乗り込む。
不思議な事に俺が乗り込んだ車両には俺以外、誰も居なかった。
3号車、俺が今居る車両の番号、何両編成かは解らないが、只の電車じゃないだろうな。
『間も無く発車します~。短い余生をお楽しみ下さい~。』
さっきから聞こえる馬鹿げた声で馬鹿げたアナウンスが耳障りだった。
これが夢なら何でもアリなんだが、一つだけ嫌な予感がした。
「……タバコがねえ……」
最悪だった……
窓から外を見ようにも、地下なのだろう。
真っ暗で何も見えない。
「とっとと終わりにしてくれねえかな?」
何も面白い事が無い電車の中。
一つだけおかしな点を挙げるなら、やたらとテレビのモニターがある事ぐらいか。
見渡す限り左右に4つずつ、合計8つもモニターがあるくせに、1つも映ってはいない。
電源もリモコンも見当たらないし、どうしたものか。
タバコを吸いたいのに吸えないイライラに駆られていると、またしてもアナウンスが響き渡った。
『お待たせしました~。次は活け作り~。活け作り~。場所は1号車です~。他の皆様はモニターをご覧下さい~。』
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