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奥まで来ると、和室と同様の絵画が飾られていた。
今回はハートが赤く塗られている。
「ハート?秀、ハートは何なんだ?」
「……杯だ。今回は場所に合った物らしいな。幾つか美術品があったから紛れてるんだろ?一階は全て見たから、二階に行ってみるか?」
「?今回も場違いだろ?普通なら理科室とか病院にあるんじゃないのか?てか、本物なんて見た事ねえよ。喫煙者の俺やお前は真っ黒なんだろうな。」
……こいつ、本物だ……
「……解ってると思うが、俺達が探すのは臓器の肺じゃないからな?杯……つまりはカップだぞ?」
一瞬の静寂……
俺が黙って見ていると目を逸らしやがった……
「……わ、解ってるって!冗談だよ冗談!秀は冗談が通じないからな~。さ、さあ行こうぜ!」
嫌いじゃないぜ?
お前達のそんなアホなとこ。
さて、〈霊力〉も完全に回復したな。
俺は万全の態勢を整えるべく、さっきの剣に〈霊力〉を込める。
先程感じた懐かしい温かさは栞のモノだろう。
栞が〈霊力〉を供給してくれたのか。
巻き込んでしまったが、あいつなら酒でも奢れば笑って協力してくれるだろうしな。
いつもは能天気な奴だが、実力は本物だ。
現実世界の烈人達も栞が居れば無事だろう。
許嫁の問題は置いとくとしても、あいつと知り合えたのは俺にとって利点だな。
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