2008年9月某日 不明 春桜

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奥まで来ると、和室と同様の絵画が飾られていた。 今回はハートが赤く塗られている。 「ハート?秀、ハートは何なんだ?」 「……杯だ。今回は場所に合った物らしいな。幾つか美術品があったから紛れてるんだろ?一階は全て見たから、二階に行ってみるか?」 「?今回も場違いだろ?普通なら理科室とか病院にあるんじゃないのか?てか、本物なんて見た事ねえよ。喫煙者の俺やお前は真っ黒なんだろうな。」 ……こいつ、本物だ…… 「……解ってると思うが、俺達が探すのは臓器の肺じゃないからな?杯……つまりはカップだぞ?」 一瞬の静寂…… 俺が黙って見ていると目を逸らしやがった…… 「……わ、解ってるって!冗談だよ冗談!秀は冗談が通じないからな~。さ、さあ行こうぜ!」 嫌いじゃないぜ? お前達のそんなアホなとこ。 さて、〈霊力〉も完全に回復したな。 俺は万全の態勢を整えるべく、さっきの剣に〈霊力〉を込める。 先程感じた懐かしい温かさは栞のモノだろう。 栞が〈霊力〉を供給してくれたのか。 巻き込んでしまったが、あいつなら酒でも奢れば笑って協力してくれるだろうしな。 いつもは能天気な奴だが、実力は本物だ。 現実世界の烈人達も栞が居れば無事だろう。 許嫁の問題は置いとくとしても、あいつと知り合えたのは俺にとって利点だな。
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