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「智治が気になったのは、これが石膏じゃないからじゃないか?見た目は石膏だが、これは本物の石だぞ?」
近くで見れば直ぐに解る。
この彫刻は石を彫られた物だ。
…………試してみるか。
「でも綺麗だよな~。芸術とか全然解らないけど、何か不思議な気持ちになるぜ。」
「…………智治……離れろ!」
俺は女神像を胴体から真っ二つに切断した。
「危ねえよ!俺まで真っ二つにする気かよ!」
「いや、思いの外よく切れた。それより、見てみろ。」
切断した女神像は空洞で中から杯が現れる。
探しても見つからない筈だ。
「これで二つ目だな!よし!次の入口探そうぜ!こんな所、要無しだからな!」
その時、周りの彫刻が一斉に動き出した。
先程の甲冑と同様だ。
「……こんな映画、見たことあるな~。」
「全部相手にするには面倒だな。次の入口を探すぞ!」
俺達は来た道を逆送する。
幸い彫刻達の動きは鈍く追い付かれる事はないだろうが、時間が惜しい。
「だぁ~!何処だよ!」
階段を全力で駆け下りる。
一階の彫刻も同様に動き出している。
「!?智治!あの絵だ!あれに飛び込め!」
無数の桜の絵の中に一つだけ異質な絵が紛れていた。
真っ白な雪の絵が。
「絵に飛び込むだ~!?そんなの無理だろ!?」
「常識に捕らわれるな!非常識だらけの世界なんだから、非常識が常識なんだよ!」
「あ~!もう、どうにでもなれ!!」
俺の予感は当たったらしい。
俺達は絵の中に飛び込み、次のステージへと進んだ。
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