2008年9月某日 不明 春桜

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〈春秋探偵事務所 午前0時〉 3人が眠ってから2時間ぐらいかな? 私も眠いけど我慢しなきゃね~。 コーヒーにたっぷり牛乳と砂糖を入れながら、秀人の額に手を翳す。 「〈霊力〉満タン!これなら、大概はやっつけちゃうね~。いや~自分の〈術〉のセンスが怖いね~。」 〈術〉は上手いこと秀人の〈霊力〉を回復させている。 この〈術〉難しいからな~。 もっと練習しなきゃね~。 「早く帰って来なよ~。秀人の助けを待ってるのは甲子園くんだけじゃないんだからね~。上の3人も心配してるしさ~。」 でも、暇だな~。 秀人が目を覚まさないと先に進まないし、私が今出来る事もやったしな~。 顔に落書きでもする? う~ん……秀人がこんなに無防備なのも珍しいし、写真でも撮ろうかな? 私は携帯のカメラで秀人の寝顔を連写する。 「にゃはは。今度、秀人のママに見せてあげよ~。どうせ、写真はおろか、電話もしてあげてないだろうしね~。…………さっきね、秀人の家に電話して分家の人達にも協力してもらえる様に頼んでおいたよ?ママさん心配してたよ?秀人がこんな事で負けるなんて思ってないけど、やっぱり心配なんだからね?バカちん…………」 何故か解らないけど涙が止まらなかった。 絶対に大丈夫って解ってるけど、涙が止まらない。 こんな顔見せたら、またからかわれる。 それでも、涙は止まらなかった。
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