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アナウンスと共に一斉にモニターが映りだした。
老若男女、5人の人間と思わしき人物が映っていた。
先程のアナウンスから1号車の乗客であろう。
そして奥には…
「……?ピエロ?」
玉に乗った真っ赤な衣装のピエロが乗客の一人の前に立ち尽くす。
乗客は微動だにしない。
そして、ピエロは手に持った包丁を乗客に突き刺した。
《ギャアアアアアアアッ!!》
先程まで微動だにしなかった乗客が悲鳴をあげる。
返り血を気にも止めず、乗客の反応を楽しむかの様にピエロは乗客の体を引き裂いていく。
そして、悲鳴が途絶え、モニターに映り込んだ乗客は、魚の〈活け作り〉の様に変わり果てていた。
「……普通なら気絶もんだぞ。夢でも趣味が悪すぎる。」
俺も慌てずモニターを見続けた。
その後もピエロは残りの乗客にも同じ様に施し、モニターには血塗れのピエロと変わり果てた乗客達の姿が映しだされていた。
『流石に微動だにしませんね~。でも、少しぐらい怖がってくれた方が、人間らしいですよ~。』
俺に言ってるのか?
なら、余計なお世話だ。
モニターは再び消え、電車の走る音だけが響く。
「こんな都市伝説あったよな?……〈猿夢〉?一般的なのとは微妙に違う気もするが、内容的には同じ様な感じだったな。なら、次は確か……」
『お待たせしました~。次はえぐり出し~。えぐり出し~。場所は2号車です~。』
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