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同じような部屋を探索したが、何も無い。
俺達は最後の客室に入ることにした。
今までと同じ部屋の造りだが、明らかに変化があった。
「……何だよ、この部屋……」
今まではぬいぐるみや人形、仮面が配置されていたが、この部屋は違った。
電車で俺達を襲ったピエロが其処には居た。
しかし、動く気配は無い。
「……人形だな。しかし、同じ奴等なんだろうな。俺達を襲ったピエロは文字通り〈ジョーカー〉の操り人形なんだろう。今考えると戦ったピエロを蹴り飛ばした手応えが無かったし、包丁を頭部に突き刺したのに血が一滴も出なかったからな。」
「人形で人を殺して楽しんでるのかよ……とんだ悪趣味だな……」
「趣味や性癖は人様々だからな。人間にだって変わった性癖の持ち主は幾らでも居るだろ?他人の趣味をどうこう言う資格は無いんだよ。死体しか愛せない奴、体のパーツを集める収集家、〈霊〉や〈妖〉も一緒なんだろ?まあ、やられる側はたまったもんじゃないけどな。」
「人間にもいるのかよ……そんな、信じられねえな……」
「たまにテレビや新聞で見たりしないか?バラバラに刻まれた死体とか、何十年も監禁した事件とかさ。例えば智治は死人相手でも人間の手足や首を切断出来るか?」
「……確かにたまに聞くけど、俺には出来ねえよ。第一、人殺しなんか無理だ。そりゃあ、殺してやりたいほど憎んだりはしたことあるけど、実行するなんて……」
「そうだ、普通って言葉は嫌いなんだが、それが普通だ。だけど、全て実際に行われた事だ。殺人、監禁、誘拐、脅迫
、強奪、強姦、人間は己の欲望を満たす為なら、躊躇いも無く何でもする生き物なんだよ。普段はそんな事、絵空事でしかないのかも知れないが常に隣り合わせの中で俺達は日常を送ってるんだ。」
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