2008年9月某日 不明 冬雪

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「……何でなんだろうな……誰だって幸せに生きたいと願ってる筈なのに……」 「だからなんだよ。幸せの定義が誰しも同じじゃない。愛する者と一緒に居る事を幸せと思う者も居れば、大金を手にしたい者、何でもない日常を過ごすことこそ幸せと捉える者、全ての頂点に君臨する事が幸せと思う者、他者の命を奪う事こそ幸せと思う奴も居る。俺達にはどうすることも出来ない問題だ……」 俺は部屋を見渡し、手にした剣を一閃しピエロの人形を全て切り払う。 「だけどな、俺の思う幸せはお前達の未来なんだよ。卒業した今でも、こうやって集まり話に華を咲かせる。結婚して子供が出来て、歳を重ねても再び集まり他愛ない話をする。それが俺の幸せだ。その為に、それを妨害する奴が居るなら……俺は全力で排除し、お前達を守る、只それだけだ。」 「…………秀…………」 崩れ落ちるピエロの残骸の中に光る物がある。 拾い上げてみると、派手な装飾が施された鍵だった。 「さっきの扉の鍵かもな。戻ろう。それと……さっき話した事は他言無用で頼むぞ?他の奴等に知られたら、からかわれるのがオチだからな……」
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